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ストレスチェックから年代別の従業員のストレスを考える

はじめに

2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、65歳までの確保の義務化に加えて、70歳までの就業確保措置が努力義務となりました。
これからの企業では、10代から70代といった幅広い世代が同じ職場で働くことが当たり前になっていくでしょう。
しかし、同じ職場で働いているといっても、年代ごとによって考えていること、思っていることはまったく異なります。
そこで今回は年代別の違いを、ストレスチェックを受検したおよそ20万人分データからひも解いていきます。

年代別でストレスチェックの結果は大きく異なる

ストレスチェックは設問数が57項目のものと、80項目のものが主流です。
このうち57項目版では、心身のストレス反応をメインとする20尺度の状況を、また80項目版では、満足度やワーク・エンゲイジメント(やる気)など22尺度が追加された計42尺度を算出します。
図1は、ストレスチェック57項目版で算出する20尺度の年代別平均値です。
数値は大きいほど、不良(好ましくない)の傾向を示しています。

(図1)

図1のとおり、「疲労感」や「不安感」など身体や心のストレス反応で年代別に明らかな差が見えます。
「疲労感」、「不安感」ともに20代が最も不良であるのに対し、60代はどちらも良好です。
また図1からは、心と身体負担は年齢を重ねるごとに良好に変化していくような傾向が見て取れます。
個人的な見解ではありますが、年齢を重ねるにつれ業務量が減少していくというよりも、社会人経験年数による業務や環境変化への慣れがその理由として考えられそうですね。

続いてストレスチェック80項目版で追加算出する22尺度を見ていきます。

(図2)

図2のとおり、ストレスチェック80項目版で追加算出する22尺度はワーク・エンゲイジメントをはじめ、働き方に関わるものが多く、57項目版で算出する20尺度の結果とは大きく異なっていることがわかります。
特に20代は「経済・地位報酬」「安定報酬」といった報酬や評価、「上司のリーダーシップ」「上司の公正な態度」といった上司との関係性が他の年代にくらべて良好のようです。
また、20代は、図1で算出した心身のストレス反応が不良な傾向を示したのに対し、所属先へは相対的に満足している傾向が見られます。
これについても個人的な見解ですが、社会人経験が他の年代にくらべて少ないために、20代は所属先に対して期待していることが大きいのかもしれません。
年齢を重ねるにつれて所属先の方針や考え方を知っていくことで期待感が徐々に落ち着いていくとも考えられます。
企業側のほうでも、若いうちからいかにして従業員のモチベーションを保ち、諦め感のないように働いてもらうかを考えることが重要ですね。

ストレスが少なく、ワーク・エンゲイジメントが高い60代

前記のとおり、60代は他の年代よりも心身のストレス反応が小さく、ワーク・エンゲイジメント(やる気)も高い傾向が見られました。長年働き
続けると、なぜなぜストレスが少なくなっているのか気になりますよね。
ストレスチェック設問への回答分布から、60代のストレスが低く高いやる気を保てる理由として考えられる特徴が次のように出てきました。

①  ストレスが少なく仕事を進めることができる
②  肩の力を抜いて仕事を進められる
③  自分の仕事に愛着を持つことができる
④  仕事をすることで活気が得られる

これら特徴を一つずつ見ていきます。

① ストレスが少なく仕事を進めることができる

ドクタートラストで取り扱っているストレスチェックは57項目版と80項目版の2種類があります。
図3は共通設問「ゆううつだ」に対して良好な回答をした人と不良(好ましくない)な回答をした人の割合を示したもので、設問「ゆううつだ」で不良な回答をした人の割合が60代は他の年代にくらべておよそ2分の1にとどまることがわかります。

(図3)

仕事中でも60代は他の年代に比べて晴れやかな気分で仕事に臨めているのかもしれません。

② 肩の力をぬいて仕事を進められる

図4は、57項目と80項目版の共通設問「一生懸命働かなければならない」の年代別回答分布です。
60代は他の年代にくらべ良好な回答をした人の割合が大きいとわかります。
なお、設問「一生懸命働かなければならない」は「そうだ」と回答するほうが良いようにも一見思えますが、ストレスチェック上は「そうだ」と答えたほうがストレス状態は良くないと判断されます。

(図4)

60代の人は不真面目というわけではなく、程よく肩の力を抜いて仕事を円滑に進めているのかもしれません。

③ 自分の仕事に愛着を持つことができる

図5は80項目版のみの設問「仕事に誇りをもてる」の年代別回答分布です。
この設問で60代は他の年代にくらべ良好な回答をした割合が高かったです。

(図5)

仕事に誇りを持てるということは、仕事に愛着を持っているともいえます。
60代は他の世代とくらべて仕事にポジティブな感情を抱いているようです。

④ 仕事をすることで活気が得られる

図6は、80項目版のみの設問「仕事をしていると活気がみなぎるように感じる」への年代別回答分布です。
この設問ではほかの年代が良好と回答した割合が3~4割にとどまっているなかで、60代では5割強が良好な回答をしていました。

(図6)

図6から、60代は、働くことが生活の張り合いにつながっていると感じているようです。
仕事から活力を得て、生き生きと過ごしている様子がうかがえます。

ストレス反応が不良傾向にあるのは20代

60代の結果では「疲労感」や「抑うつ感」といったストレス反応が、他の年代とくらべて非常に良好でしたが、20代は対照的に他の年代にくらべ特に不良傾向にあります。
ストレスチェック設問への回答分布から、20代はストレス度合いが高い一方で所属先に対しての不満は少ないようです。
また、特徴としては以下の通りです。

①  疲労感が溜まっている
②  上司のリーダーシップに満足している
③  上司が誠実に接してくれていると感じている

ドクタートラストで取り扱っているストレスチェックは57項目版と80項目版の2種類があります。

① 疲労感がたまっている

まず上記の①についてですが、図7~9はストレスチェック57問版と80問版の共通設問「ひどく疲れた」「へとへとだ」「だるい」で不良な回答をした人の割合を示したものです。

(図7)

(図8)

(図9)

図7~9すべての設問で20代が最も不良な傾向にあることがわかります。
特に設問「ひどく疲れた」は49.57%が不良な回答をしており、2人に1人が疲れを感じている状態にあます。
この他にも「抑うつ感」について同様の傾向がみられ、心身ともに他の年代にくらべ疲れている状態がうかがえます。

保健師からのワンポイントアドバイス

こんにちは、ドクタートラスト保健師の根本です。
20代の方は、「ひどく疲れた」「へとへとだ」「だるい」と感じている方が多いようですね。
この年代は、社会人となって一人暮らしを始めたり、新しい仕事を覚えるために帰宅時間が遅くなったり、生活リズム(食事や睡眠など)が崩れやすい年代でもあります。
特に睡眠は心身の疲労を取るためにとても大切ですが、充分取れていな20代も多いのではないでしょうか。
睡眠は、心身の疲労を取るだけでなく、ホルモンバランスを調整したり、免疫力を上げたり、さまざまな役割がありますので、1日7.5時間以上睡眠を取るようにしましょう。
そのために、会社や管理職の方々は、業務の調整やサポートをすることも大切です。
社員研修で、睡眠セミナーなどを実施して、正しい睡眠の知識を提供することも効果的ですよ。

② 上司のリーダーシップに満足している、③ 上司が誠実に接してくれていると感じている

続いて、上記②と③についてです。
ストレス反応は不良傾向でしたが、会社や上司に対する設問ではほかの年代とくらべて良好な結果でした。
図10、11はストレスチェック80項目版のみの設問「上司は部下が能力を伸ばす機会を持てるように、取り計らってくれる」「上司は誠実な態度で対応してくれる」への年代別回答分布です。

(図10)

(図11)

図10、11を見ると、どの年代も良好な傾向がみられますが、その中でも20代は特に上司関連の項目で最も良好な回答をしている割合が大きく、強い信頼感を寄せているとわかります。
20代は他の年代にくらべて上司に頼ることも多いからと言ってしまえばそれまでですが、30代や40代になるにつれ最も良好な回答をする人は徐々に減っています。
会社や上司に信頼感の強い20代のうちに、上司の方はぜひ良好な関係を築いていきましょう。

おわりに

今回は、ストレスチェック結果を年代別に解説しました。
特に20代と60代では大きく結果に違いがあったことがわかりました。
今後の定年延長によって増えていくだろう60代はストレス度合いが少なく、仕事に愛着を感じていたり、程よく肩の力を抜いて仕事に取り組めていたりなど、長く働くことで得られるメリットを予感させてくれる結果でした。
自分自身の60代を想像しても、このような結果があれば安心できる材料の一つとなりそうですね。

<調査概要>
■ ストレスチェック実施期間:2019年4月1日~2020年3月31日
■ 調査対象:ドクタートラストのストレスチェックサービスを利用したうち199,290名
■ 調査対象年代別内訳
・20代:31,521名
・30代:40,891名
・40代:53,009名
・50代:36,706名
・60代:12,352名
■ 57項目版尺度
仕事の量的負担、仕事の質的負担、身体的負担度、仕事のコントロール度、技能の活用度、職場の対人関係、職場環境、仕事の適性度、働きがい、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からのサポート、同僚からのサポート、家族や友人からのサポート、仕事の満足度、家庭の満足度
■ 80項目版尺度
仕事の量的負担、仕事の質的負担、身体的負担度、仕事のコントロール度、技能の活用度、職場の対人関係、職場環境、仕事の適性度、働きがい、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、上司からのサポート、同僚からのサポート、家族や友人からのサポート、仕事の満足度、家庭の満足度、情緒的負担、役割葛藤、役割明確さ、成長の機会、経済・地位報酬、尊重報酬、安定報酬、上司のリーダーシップ、上司の公正な態度、ほめてもらえる職場、失敗を認める職場、経営層との信頼関係、変化への対応、個人の尊重性、公正な人事評価、多様な労働者への対応、キャリア形成、ワーク・セルフ・バランス (ネガティブ)、ワーク・セルフ・バランス (ポジティブ)、職場のハラスメント、職場の一体感(ソーシャル・キャピタル)、ワーク・エンゲイジメント

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