REPORT

組織の未来を変える研究を、世の中へ。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム
  4. <職場環境が良くなる!コミュニケーション論>【第1回】職場におけるコミュニケーションの秘訣とは?

<職場環境が良くなる!コミュニケーション論>【第1回】職場におけるコミュニケーションの秘訣とは?

最終更新日 2023-01-10

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

かの有名なアルフレッド・アドラー(精神科医、心理学者)が提唱したアドラー心理学の根底に流れる概念ですが、職場における悩みやストレスの原因で常に上位を占めるのも「対人関係の問題」です。
職場環境を改善したいけれど、何から手を付けたら良いかわからない……という場合、コミュニケーションについて見直してみてはいかがでしょうか。

・ 部署の人間関係をもっと良くしたい
・ コミュニケーションが活発になれば、仕事のストレスが少しは軽減できるのでは?
・ 楽しい雰囲気で、笑い声が聞こえる職場にしたい

このような想いをお持ちの方に「職場環境が良くなる!コミュニケーション論」を全3回で、わかりやすくお伝えします。
上司の立場でも、部下の立場でも、個人でスキルを身につけていただくのも、チームでスキルを共有していただくのもOKです。
一緒に学んでいきましょう!

第1回目の今回は、「職場におけるコミュニケーションの秘訣とは?」です。
これさえ押さえておけば、今日から対人関係が少し得意な自分に出会えるかもしれませんよ。

ストレスチェックでコミュニケーションを問う設問は3つ

あなたが仕事で困った時、誰に相談しますか?
ストレスチェックの設問の中に、職場の対人関係やコミュニケーションを問う設問が3つあります。

<上司・同僚からのサポートを問う設問>
Q. どのくらい気軽に話ができますか?
Q. あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?
Q. あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?

気軽に話ができて、困った時頼りになって、個人的な相談もきいてくれる。
そのような存在が職場にいることがメンタルヘルス対策として必要だとストレスチェックは示しているのです。

上司、同僚、友人、家族、親、カウンセラーなど、時と場合によって異なると思いますが、あなたが困った時に相談したいのは、このような相手ではないでしょうか。
反対に「話をきいてくれない」「きっと怒られるだろうな」「否定されるだろうな」と感じる相手には間違っても相談したくないものです。

相談したい相手

ところで、そもそもコミュニケーションとは何でしょう。
広辞苑には下記のように記載があります。

社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達。
言語・文字その他視覚・聴覚に訴える各種のものを媒介とする。
出所元:広辞苑

つまりコミュニケーションとは、自分の気持ちや意見を相手に言語や非言語を用いて伝えることです。

人間の大原則<承認欲求>とは

人間がもっとも興味がある人は「自分」

部下よりも、友人よりも、家族よりも、人間がもっとも興味がある人は「自分」のことではないでしょうか。
「自分」がどう思われているか、「自分」とあの人との関係、自分が楽しく働くためにはどうしたら良いか、「自分」の気持ち、「自分」の健康など…。

自分よりもわが子のほうが大事!という人もいるかもしれませんが、それは「自分」の子どもだからですよね。
「自分」が守るべき存在だし、「自分」が関わることだから、わが子のことでも「自分」が主体となっているはずなのです。

とにかく「わかってほしい」「認めてほしい」

自分が一番興味のある自分のことをわかってほしい。
自分の気持ちや価値観をわかってほしい。
自分がこんなにも努力していることを知って認めてほしい。
自分の存在自体を認めてほしい。
「わかってほしい」「認めてほしい」という承認欲求は、人間の大原則なのです。

<承認欲求を満たす方法>
・ 相手の言葉を要約して伝え返す
・ 感情を共鳴させる(一緒に笑う、一緒に怒る、一緒に驚く)
・ 言葉にして伝える

心の中で承認していても、相手は「本当に分かってくれているのかなぁ?」と不安に思うもの。
「頑張っているね」「そうなんだね」「うん、わかったよ」と言葉にして伝えることが重要です。
なかでも、何度も繰り返すフレーズは、特にわかってほしい伝えたい事柄です。
そのフレーズをキャッチして伝え返すことで、相手は安心して承認されたと感じるのです。

職場におけるコミュニケーションの秘訣(1)きく

「きく」の漢字は3種類あります。
「聞く」「訊く」「聴く」ですね。
このうち特にコミュニケーションで必要となるスキルは「訊く」と「聴く」の2つです。

【訊く】声をかける、尋ねる、質問すること

まずは相手に関心をもつことから始まります。
相手は何に興味があるのか?好きなことは何か?どんな仕事をしているのか?どんな価値観を持っているのか?
名前を呼んで挨拶をする、自分から声をかけてみる行為も立派なコミュニケーションです。
そこから会話を発展させるには、「質問」が有効ですね。
ポイントは、自分の興味本位だけの事柄ではなく、相手の興味関心に添った内容を選ぶことです。

<例>
「例の打合せ、難しいと言っていたけど、どうだった?」
「この資料の言い回しについて、〇〇さんはどう思う?」

クローズドクエスチョン(yes、noで答えられる質問)とオープンクエスチョン(Why、Howを問い、相手に答えてもらう質問)を場面によって使い分けるとより自然に会話が広がります。
一問一答のような質問をしすぎると尋問のように問い詰められている雰囲気になるため注意が必要ですが、職場での訊く行為は、相手の状況確認、意見を募る、双方の知識習得にも役立つものです。

【聴く】文字の成り立ちのとおり、耳と目と心できくこと

相手から相談ごとを持ちかけられた場合などには、徹底して聴き役に努めるスキルが求められます。
ただ「聞く」のではなく、主体的な姿勢で耳と目と心を傾けて傾聴することが「聴く」です。
以下はある小学校一年生の教室に掲示されていたものですが、とても的を射た表現だと思いませんか。

<話のきき方 ~あいうえお~>
あ 相手を見て
い いい姿勢で
う うなずきながら
え 笑顔で(目が笑う)
お 終わりまできく

子どもも大人も話のきき方の大事なポイントは同じなのですね。
昨今では、マスクをしながらのコミュニケーションに障害を感じることが多くあります。
お互いに表情がわかりづらく、声も届きにくいためです。

ですが、「目は口ほどに物を言う」と言いますね。
特に日本人は、主に目元で感情を表現する(一方、欧米人は、口元で表現する)ため、意識的に目元で感情を表現すると良いでしょう。

職場におけるコミュニケーションの秘訣(2)自他尊重

自分も相手も大切にする自己表現のことをアサーション、またはアサーティブコミュニケーションと言います。
相手のことも配慮しながら、自分の気持ちや意見を、その場にあった適切な態度で表現すること、そしてお互いにとって一番良い妥協点を探すコミュニケーション方法です。
「I am OK, You are OK」の精神ですね。

アサーティブ

自他尊重がうまくいくポイントは、自分の考えは「Iメッセージで伝える」ことです。
まずは相手の話、相手の気持ちを受け止めましょう!
受け入れることができなくても大丈夫です。
「そうなんですね」「わかりました」と、まずは相手を受け止めることが先です。
自分の気持ちや意見を伝えるのは、相手の話を十分聴ききってからで遅くありません。
伝え方は2パターンありますが、どちらが自他尊重の表現だと思いますか?

Youメッセージ
「何この言い方。説明が分かりにくいから結局何をすればよいかわからない」

Iメッセージ
「この部分、〇〇という意味で合っていますか?もう一度説明してもらえたら嬉しいのですが」

Youメッセージは、相手を主語とした表現です。
相手を決めつけたり、相手を非難したりする意図で使われることが多いものです。
一方、Iメッセージは、私を主語とした表現です。あくまで主語は私です。
「私個人の意見は〇〇だけど、どうかな?」
「△△してもらえると(私は)助かる」
と相手を傷つけることなく自分の要求や考えを伝えることができます。
相手の主張に対して、自分はどうしてもらいたいのか「具体的リクエスト」に変換して伝えることがポイントです。

今回は、職場におけるコミュニケーションの秘訣をご紹介しました。
次回は、きちんと伝わる上手な褒め方と叱り方をお伝えします。

DL

執筆者

【保健師】高橋 さなえ
【保有資格】保健師/看護師/公認心理師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士/産業カウンセラー/上級心理カウンセラー
【コメント】ドクタートラスト創業初期メンバーの一人。保健師や公認心理師の目線を活かしてコンサルタント・研修講師として活動中。ストレスチェックは、個人だけのためのものでなく組織の成長や生産性向上に欠かせない重要なツールです。みなさまが思う目指す職場像に近づけるよう、役立つ情報をわかりやすく発信していきます。

関連記事

執筆者

【保健師】高橋 さなえ

【保有資格】保健師/看護師/公認心理師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士/産業カウンセラー/上級心理カウンセラー
【コメント】ドクタートラスト創業初期メンバーの一人。保健師や公認心理師の目線を活かしてコンサルタント・研修講師として活動中。ストレスチェックは、個人だけのためのものでなく組織の成長や生産性向上に欠かせない重要なツールです。みなさまが思う目指す職場像に近づけるよう、役立つ情報をわかりやすく発信していきます。

問い合わせはこちら

ステラのお問い合わせ

ストレスチェック

ドクタートラストのストレスチェック