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組織の未来はワーク・エンゲイジメントで決まる<後編>

組織の未来はワーク・エンゲイジメントで決まる<後編>

「組織の未来はワーク・エンゲイジメントで決まる<前編>」では、ワーク・エンゲイジメントの定義や重要性、日本企業における指標の低さについてお伝えしました。

後編では、前編で紹介したストレスチェック内の2つの設問に、新たに3つの設問を加え、より詳しくワーク・エンゲイジメントについて考察し、その高め方も説明していきます。

ワーク・エンゲイジメントをはかる5問の回答割合

ストレスチェック80項目版のうち、「ワーク・エンゲイジメント尺度※」に該当するものは前編で示したとおり、「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」「自分の仕事に誇りを感じる」の2問です。
しかし、ストレスチェックの設問のなかには、ほかに3つのワーク・エンゲイジメントに関連する設問が含まれており、合わせて5つの設問を見ていくことでより詳しい分析が可能になります。
以下にその設問と回答割合を示しています。【】内は尺度名です。


<5問の回答割合>
・【働きがい】働きがいのある仕事だ
(良好回答):72.1%、(不良回答):27.9%
・【仕事の満足度】仕事に満足だ
(良好回答):67.7%、(不良回答):32.3%
・【ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)】仕事でエネルギーをもらうことで自分の生活がさらに充実している
(良好回答):32.9%、(不良回答):67.1%
・【ワーク・エンゲイジメント】仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる
(良好回答):38.6%、(不良回答):61.4%
・【ワーク・エンゲイジメント】自分の仕事に誇りを感じる
(良好回答):67.9%、(不良回答):32.1%
出所元:株式会社ドクタートラストが実施した2020年度ストレスチェック受検者240,275名の集計データより

このデータによると、「働きがい」「満足度」「仕事への誇り」といった尺度への良好回答は、およそ7割前後となっており、多くの人は現在の仕事におおむね満足していることがわかります。
一方、「自分の生活の充実」「活力がみなぎる」といった尺度への良好回答は3割程度で、仕事から生活を向上させるエネルギーを得ている人は少ないのが現状です。
※尺度:ストレス要因のカテゴリーのこと。80問版は42の尺度に分類されている。

あなたはどう答える?有名な「Q12(キュー・トゥエルブ)」

組織のワーク・エンゲイジメントを測ることができる有名なツールとして、米国の世論調査会社Gallup社が実施しているQ12があります。
みなさんも実際に12の質問に答えてみましょう。

「Q12(キュー・トゥエルブ)」の内容
Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

欧米企業が実施している調査なので、日本人特有の文化や考え方にそぐわない箇所もあるかもしれませんが、もし自分がこの12の質問すべてにYesと答えられる状態だとしたらとてもワクワクしませんか。
ギャラップ社の2017年の調査によると、日本企業はワーク・エンゲイジメントの高い「熱意あふれる社員」の割合が6%で、米国企業の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位レベルでした。
さらに、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」はなんと70%に達したという結果も出ています。

ストレスチェックのデータやGallup社の調査結果をふまえると、日本企業のワーク・エンゲイジメントにはまだまだ改善の余地があると言えるでしょう。
では、どのようにすればワーク・エンゲイジメントを高められるのか、ストレスチェックのデータからそのヒントをお伝えします。

ワーク・エンゲイジメントと相関の高い尺度を改善せよ

ストレスチェックの回答結果を分析し、ワーク・エンゲイジメントと正の相関があるとされる尺度の上位5つを以下にまとめました。

1位 【成長の機会】仕事で自分の長所をのばす機会がある
2位 【仕事の適性度】仕事の内容は自分にあっている
3位 【職場の一体感】私たちの職場では、お互いに理解し認め合っている
4位 【個人の尊重性】一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ
5位 【キャリア形成】意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている
出所元:株式会社ドクタートラストが実施した2020年度ストレスチェック受検者240,275名の集計データより

上記の尺度は、ワーク・エンゲイジメントと関連性が深いものです。
これらの回答が良ければワーク・エンゲイジメントも高く、反対に回答が不良であればワーク・エンゲイジメントも低くなります。
ワーク・エンゲイジメントは、その他のストレス要因や職場環境の結果として現れるアウトカム指標であるため、上記の5つの尺度を改善していくことが、結果的にワーク・エンゲイジメントの向上につながっていくでしょう。

では実際に5つの尺度を改善するためには、組織や上司としてどのような取り組みをすべきなのでしょうか。

上司がすべきことは、個人への動機づけ

相関の高い尺度トップ5を具体的にみていくと「成長の機会」「仕事の適性度」「個人の尊重性」「キャリア形成」の4つの尺度において「個人」を軸にしています。
つまり、ワーク・エンゲイジメントは、「個人」の主体性・自発性・自律性がカギとなるのです。
しかし、ワーク・エンゲイジメントは個人のモチベーションや価値観によって自然発生するものではないため、組織や上司がどのように「個人」に関わるかという点が重要です。
組織や上司がすべきことは、部下が自分事として仕事に取り組めるような関わりをもつことです。行動の軸をいかに自分事とさせられるかがポイントとなります!

個人に合わせたキャリアプラン、成長の機会を明確に

ワーク・エンゲイジメントを高めるために上司がすべき対応を以下にまとめました。

① 何を目指してもらいたいのか、何を求めているのか、「個人」の役割を明確に伝えよう
伝達エラー回避のために、目標は限りなく小さく落とし込む。(やることは明確に)
② 自ら思考させ内省をうながす、余白のある任せ方をしよう
部下を信頼し、意図して「任されている」と伝わる状態に。(やり方は任せる)
③ フィードバックとフィードフォワードによる評価をしよう
丸投げするのではなく、現状と未来を常に確認し合う。

さいごに

ワーク・エンゲイジメントを高めるには、ストレスチェックの「ワーク・エンゲイジメントと相関の高い5尺度」に注目し、改善をおこないましょう。
重要なのは、組織や上司が個人にどう関わっていくかです。
一人ひとりに合わせたキャリアプランや成長の機会を明確にして、主体性・自発性・自律性の向上をうながしましょう。
部下に仕事を自分事として考えてもらうことで、ワーク・エンゲイジメントの向上が期待できます。
こうした組織や上司の関わりによってワーク・エンゲイジメントが高まり、組織の未来が決まると言っても過言ではありません。

「あなたは、現在の職場を親しい友人や家族、自分の子どもにおすすめしたいですか?」

これは、ワーク・エンゲイジメントを測るのにもっとも簡単な質問です。
全員が迷わず「YES!」と答えられる組織を目指しましょう。

DL

<参照>
Gallup「State of the Global Workplace – Gallup Report (2017)」

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