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キャリア形成の新しい形「キャリアドリフト」で作る未来の描き方

キャリア形成の新しい形「キャリアドリフト」で作る未来の描き方

ストレスチェックの集団分析結果をご説明していると、よく質問いただくのが若手層のエンゲイジメント向上施策、そしてキャリア形成についてです。
退職理由としてしばしば目にする「キャリア」は、多くの従業員が一度は悩むものであり、また一方でどのようにキャリア教育を行っていけばよいか課題感を抱えている人事担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本日はキャリアについての新しい考え方「キャリアドリフト」をご説明いたします。

キャリアドリフトが生まれたその背景

長く続くコロナ禍により、未来への見通しを立てるのが難しい時代になりました。
エンターテイメントをはじめとするさまざまな業界で、「コロナが収束したら?しなかったら?」と常に2つのパターンを求められるような、確実な予測が立てられない状態が続いており、現代は「VUCAの時代」と呼ばれています。
VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字からなった造語で、未来の予測が難しい状態を示す言葉として使われています。
今までの慣習にしがみついていることで、変化や状況に取り残されてしまうのではないかと不安を感じる経営者も多いことでしょう。
しかし、不安に感じているのは従業員も同様です。
今後この会社に就業し続けてよいのか、自分はどうすれば生き残ることができるのかといった不安感から自身のキャリア形成についてより慎重に考える人が増えています。
キャリアドリフトとはそうした背景をもとに注目されている新しい考え方です。

キャリアドリフトとは

キャリアドリフトとは、神戸大学大学院の金井壽宏教授が提唱するキャリアについての理論で、キャリア(career/仕事の経験)とドリフト(drift/漂流)を合わせた言葉です。
終身雇用制ももはや崩壊しつつある現代において、かつてのように10年後、20年後の未来を描き、その通りを目指していくのが難しいという前提のもと、あえて状況に合わせて漂流し、変化に対応することで、その時に得たチャンスを生かしてキャリアを築く考え方です。
皆さんが生まれたころ、私たちが今手にしているスマホを想像できていた人はどれくらいいるでしょうか。
令和の時代に生まれた子どもが大人になるころには、今の社会に存在する職業自体が失われている可能性もあります。
キャリアドリフトでは、日々新しい働き方、職業が生まれている時代だからこそ、「キャリアプランニング」や「キャリアデザイン」といったものにとらわれず、新しい波にあえて身を任せることを推奨しています。
実際、ビジネスにおいて成功した人物のキャリアを調査すると、なんと8割が本人の意図しない偶然により成功を勝ち取っているという結果があります。
これはジョン・D・クランボルツ教授が提唱する「計画性偶発性理論」のきっかけとなる研究ですが、このキャリアドリフトにも近しいものがあるように感じます。

キャリアドリフトの最大の目的は

キャリアドリフトの最大の目的は、希望に沿わない配属などによるモチベーションの低下、やりがいを見いだせないことによるエンゲイジメントの低下などに起因する従業員のストレス軽減や退職防止にあります。
従業員が現在の状況に合わせて自らのキャリアを考え、希望と必ずしも一致しない現在の状況をどう活かすかの視点を抱けるようになることで、業務に対して前向きになり、そこから得た経験をエンゲイジメントへと昇華させやすくなります。
企業側、従業員側ともにメリットのある考え方であると言えるでしょう。

キャリアデザインなどとの違いは?

キャリアに関する言葉として良く上げられるのがキャリアデザイン、キャリアプランニング、キャリアビジョン、キャリアパスといった言葉です。
これらはキャリアドリフトとどこが違うのでしょうか。

キャリアデザイン

キャリアデザインとは、今後どのような人生を描きたいのかを具体的に描き、理想を実現させるための設計図を描くものです。
理想の実現に向けて足りないスキルや経験を補ったり、勉強したりすることで、努力の指針を立てるものとして使われます。

キャリアプランニング

キャリアプランニングは、キャリアデザインと限りなく近いものですが、キャリアに向けて、さまざまなプラン(施策)を考えるものです。
キャリアデザインにくらべて、より具体的な落とし込みをする場合に使用される傾向にあります。

キャリアビジョン

キャリアビジョンは、自分の目指す未来の理想像、すなわちゴールの部分を指します。
「キャリアデザイン」「キャリアプランニング」に包含されているものとも言えます。

キャリアパス

キャリアパスは、企業内で従業員がどのように経験すれば役職やポストに就くことができるのかといった、出世やキャリア形成における道筋を指します。
キャリアパスがある程度定められていることで従業員の成長における不安感が薄れ、目標に向けて邁進しやすくなると言えますが、きちんと定められている企業はまだまだ少ない印象です。

これらの内容とキャリアドリフトの大きな違いは、道筋を最初から定めないということです。
前述のとおり、ドリフトとは漂流を指します。
本人の希望していない部署への配属、本人の意図しないプロジェクトへの選抜、そうしたときにそれをチャンスに活かせるかどうかを考え、行動していくのがキャリアドリフトの特徴です。
「希望と異なるからやりたくない」「自分の目指すキャリアと違うから辞めたい」といった想いにとらわれることなく、挑戦し、次のステップにつなげることで、柔軟性が育ち、時代の変化に強い人材へと成長できます。

今後はキャリアデザインやキャリアパスは不要になるか

では、今後若い社員を育てていくにあたり、企業としてのキャリアデザインなどは不要になるのでしょうか。
私はそうとは限らないと考えます。
キャリアドリフト的思考の社員育成を成功させるための秘訣は「本人がどれだけチャンスとめぐり合い、そしてそこでキャリア(成長)をつかむことができるか」にあると考えます。
新人にどれくらいの程度、頻度でチャンスや成長の機会を設けるかは、経営層の方々や上司のマネジメントにかかっています。
キャリアドリフトの特徴には「受け身」という側面があります。
そのため、企業のマネジメント次第では、従業員が新天地にチャンスを求めて退職を決意してしまう可能性も大いにあります。
だからこそ、ある程度のキャリアパスを企業側が描いておくことで無駄のない育成につながると考えます。

キャリアドリフト型社員育成、成功のコツは「キャリアアンカー」にある

キャリアドリフトの成功のコツは、キャリアを形成する際に本人が指針とするような重要な価値観「キャリアアンカー」にあります。
この会社で働き続けるために、成長するために「必要なこと」を若手時代にしっかりと育てておくことで、さまざまなチャンスに巡り合った時に次のステップに進む際の指針になります。
キャリアアンカーを根付かせ、しっかりとキャリアドリフトの考え方を浸透させることで、どんな時も柔軟に対応できる従業員へと育成できます。
若手育成にお悩みであれば一度、どのように育成しているのか今一度見直してみてはいかがでしょうか。

DL

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